ざっそう

滋賀県9年目小学校教諭の、自分のためのブログです。教育は、足元のタカラモノ。

学級づくりで大切なのは、決断すること

 昨日は、「明日の教室」に参加し、金大竜先生のお話を聞いてきました。

ワクワクを生み出す!  あたらしい教室のはじめかた

ワクワクを生み出す! あたらしい教室のはじめかた

 

  これを読んでから行ったので、どんな元気なお話を生き生きとしてくださるのかと思って言ったけど、金先生は想像と違って、口調はゆっくりで、とても穏やかで柔らかな人でした。やぱり本人に会いに行くのが一番だなと思いました。

 新年度に向けてということで、様々な学級経営の技術を具体的に紹介してくださりました。紹介していただいた実践、発せられた言葉を俯瞰すると、金先生の頭の中にはいつも、いわゆる「しんどい思いをしているあの子たち」の姿があるのがわかります。だから必ず笑いを入れると。そうでもしてあの子をこっちに向かせるんだと。あの日の僕に足りなかった大切な見方・考え方の一つです。

 

 休憩時間に、金先生に直接、漢字の指導をどこまで丁寧にしたらいいかについての質問をしたのですが、「先生のその質問の裏には何があるんだろう。きっと『不安』ですね。」と、僕の心理を突かれました。きっと過去に辛い思いをしたから、そんな迷いが出ているんだと。でもそのときはそのとき。起きてないことを心配するのに労力を割くほど無駄なことはない。「起きてから考えよう。どうせよくなる」と。新年度を迎えるにあたり、心にゆとりができました。確かに、あの日のことは僕の頭から離れず、「失敗しないよいに」と考えていることがたくさんありました。でも、そんな心構えだと、また何かが起こった時にあたふたして、同じ過ちを繰り返してしまうかもしれません。危ないところだった。こんな先生が職場にいて、メンターをしてくれたらどれだけレベルアップできるだろう。

 ただ、起きてから考えるとはいうものの、金先生のディティールへの配慮は並大抵のものではありませんでした。学校文化の当たり前を疑い尽くす姿勢、子どもの目線の動きや体勢から読み取れる優位感覚の分析など子どもを理解するための知識量、気になるあの子を引きつけながらも周りを育てる細かい仕掛け、子どもの中に教科の力を積み重ねていくための授業の組み立て方やアウトプット方法の工夫などなど、計り知れない知識と経験を実践に活かしておられるようでした。

 金先生は、最初から最後まで「〜でいいじゃん」という言葉じりで話をされていました。「なんで三角座りなの」「自信なんてなくていいよね。」「褒めることは、相手を追い詰めることが多い」「⭕️か❌かだけじゃない」など、とにかく一つ一つの細かいことを深く深く考えておられました。毎日やっていることは、本当にそれで正しいのか。なぜそれをするのか。改めて考えないといけないと。そしてできれば、それを子どもと一緒に考えるといいと。最後の「ひまわりの種」の話も印象的でした。ひまわりの種は、種を開けると中身は白くて、成長するための要素が全て詰まっていると。だから、どんな種も、環境が整えば成長することができると。そして、子どもも一緒だと。

 しかし、そんな金先生でも、まだまだ迷いの中にいるということが最後の鼎談でもわかりました。鼎談の相手であった、池田修先生は「金先生はINGの中にいるんだと感じた」とおっしゃっていました。つまり金先生でも、言っていることとやっていることがぴったり重なっている部分もあれば、背中合わせになっている部分もあったと。そして「本質」とか「信念」とかいう言葉の危険性も述べ、本質や信念だと思ったことは、その時点から疑わなければいけないと。そんなもんなんだと。

 それを踏まえた上で、最後に池田先生は「大事なのは、決断すること」とおっしゃっていました。やり方はいくらでもあるから、何を目指すのかを決めることだと。

 

 僕は、いくつかの本を読んで、新年度を迎えるにあたり、まだ迷っていることがたくさんあります。そして、決まりそうにない。笑

 でもその迷い続けるあり方こそが僕の、人間として「在りたい姿」なんだと思います。ただ、やはり何かを決めないといけない。その時点での僕の考えを、何かの形として具現化しないといけない。それを恐ると、何も残らないことになる。何も残らないと、見返すことができないし、変化することもできない。だから、僕はとりあえず今目の前にあることをよく見て、一旦決断してしまおうと思います。対立することや反感を食らうこともあるかもしれないけれど、やってみないとわからないから、とりあえず。そして、これからも常に修正していこうと思います。

 

「起きてから考えればいい。どうせよくなる」